ペラペラの自尊感情

言葉のリハビリ帳

梶井基次郎の「檸檬」を読んだ

 高校の時に初めて読んだ。一番仲が良かった理系文学男子が本を貸してくれたのだ。二人の間で「檸檬」ブームが起きた。というのも、「檸檬」を読んだ次の日、彼は体調を崩した。その本を借りて読んだわたしも翌日体調を崩したからである。いや、単に二人とも体が弱かったんだろうと言われればそれまでだけど、その本に魔力でも宿ってる気がして怖いような楽しいような気持ちになった。

 

数日後彼はなぜか果物屋でレモンを買ってきて、図書室に置いていった。わたしはその辺の本を重ねて、その上にレモンを置いた。結局そのレモンの行方は分からなくなってしまったけど。

 

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京都の大学に来て、三年目。もう一度読み直した。やっぱりよくわからないけれど、この話を読むたびに胃がきゅっとつかまれるような気持ちになる。今度また丸善に行ってみよう。

 

私は 、できることなら京都から逃げ出して誰一人知らないような市へ行ってしまいたかった 。

そう周囲が真暗なため 、店頭に点けられた幾つもの電燈が驟雨のように浴びせかける絢爛は 、周囲の何者にも奪われることなく 、ほしいままにも美しい眺めが照らし出されているのだ 。